このページでは、うさぎの健康に欠かせない、うさぎのエサ(餌)の種類と選び方についてわかりやすくご紹介しています。
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すでによく知られているように、野生のうさぎは、草原の草や牧草、冬の間は木の皮などを食べて暮らす草食動物です。
その野生のうさぎから様々な交配を重ねて生まれたペットとしての飼いうさぎ(カイウサギ)も、本来牧草や野草を主食にして生きる草食動物であることに変わりはありません。
草食動物のうさぎは、消化しにくい繊維質(セルロース)の多く含まれる牧草を食べて栄養として体に取り込んでいますが、うさぎの消化器官はもともと上手にセルロースを分解することができません。
ではどうやってうさぎは消化されにくいセルロースを分解して栄養として取り込むことができるのでしょう。
それは、うさぎの腸管のなかにセルラーゼと呼ばれる分解酵素をもった微生物(腸内細菌)を住まわせているから。この腸内細菌の力を借りて、うさぎは牧草や木の皮などを食べても健康を保っていられるのです。
そのため、うさぎに繊維質(セルロース)の少ない食事(餌)ばかり与えていると腸内細菌の働きが弱って、うさぎ自身も「消化管うっ滞」と呼ばれる病気を起こしたり、体調を崩したりしてしまいます。
従来からうさぎの主食としてチモシー・グラスなどの良質な牧草が推奨されているのには、こうした理由があるからなのです。
かなり昔になりますが、うさぎのエサ(餌)といえば、残り物の野菜や近くで採ってきた野草で育てるのがふつうだったものです。
キャベツや白菜のいちばん外側の硬い葉や、人参や大根の葉など、八百屋で捨ててしまうような野菜のくずや,タンポポ、ハコベ、オオバコ、アザミなどの野草を摘んできてはうさぎに与えていたのです。
実際、こうした野菜や野草などの生の植物だけでもうさぎの飼育は可能です。
とはいうものの、身の回りから自然が失われ、生活が合理化されるにしたがって野草はもちろん、くず野菜を手に入れることも口で言うほど簡単ではありません。毎日のうさぎの食事となればなおさらです。
でも、散歩の折などに摘んできた野草や野菜を、うさぎがおいしそうに食べる様子を見るのは、ほんとうに楽しいものです。
うさぎの好きな野菜は、瓜(ウリ)、南瓜(カボチャ)、大根(ダイコン)、小松菜(コマツナ)、青梗菜(チンゲンサイ)、キャベツ、サツマイモ、サニーレタスなどたくさんあります。なかでも人参(ニンジン)はうさぎの大好物です。
ただし、野菜の中でもホウレン草には注意が必要です。ホウレン草に含まれているシュウ酸は、過剰に与えすぎるとうさぎの健康に害を与えることもありますので、与えるならほんの少しだけにしておくほうがいいでしょう。
うさぎ自身もそのことを知っているのか、与えてもあまり喜んで食べるということをしませんので、できれば、はじめから与えないほうが安心です。
そしてうさぎの好きな野草には、オオバコ、ハハコグサ、チチコグサ、タンポポ、シロツメクサ、ハコベ、アザミなどがあります。
写真:クローバー(左) レンゲソウ(右)
ただし、マメ科の植物、たとえば、クローバー(シロツメクサ)、クズ、カラスノエンドウ、スズメノエンドウ、レンゲソウなどは栄養価の高いエサ(餌)になりますが、与え方にちょっと注意が必要です。
その理由は、マメ科の植物は、うさぎの腸内で発酵して病気の原因になることがあるから。こうしたマメ科の植物を与えるときは、他のものと一緒に少しだけ与えるようにするか、もしくは与えないと考えたほうが安心です。
現在では、うさぎの餌に、野原の草を集めるのも大変ですし、残り物とはいえ、その代わりとして毎日野菜を与えるのは経済的にも大変です。何より、栄養のバランスも心配です。
そうしたこともあって、現在では、比較的長く保存ができて栄養のバランスも良く、栄養価の高いうさぎ専用の餌として、牧草を主原料にして固めたペレット(ペレットフード)を主食としてうさぎに与えるのが基本になっています。
けれど、やはりうさぎの餌として最も適しているのは、何も加工していない牧草や野草なのです。ペレットだけでは、十分な繊維質が取れないこと、牧草に比べてうさぎの歯を削る効果が弱いことなどがその理由です。
最近では、うさぎの主食としてペレットを与え、牧草を副食として与えることが主流になっているようですが、牧草を主食として与え、ペレットはそれを補う副食とするほうが、うさぎの健康のためにも良いことなのです。
このことに関して、愛知教育大学大学院(当時)の松本みゆき獣医師の”正しいウサギ・ニワトリの飼育法について”という文献では、
”ペレットを与える際には乾草を与えることが推奨されている。その大きな理由のひとつに、臼歯の正常な磨耗がある。さらには、ペレットだけでは高タンパク高カロリーなため肥満しやすい。(乾草に含まれる)多量の繊維質の存在が消化管の正常化に寄与する点も大きい”
とあり、ペレットと乾草をセットにした餌の持つ重要性を指摘されています。こうした意見も、うさぎの餌選びの参考にしてみてください。
ペットショップなどへ行くと、様々なタイプのうさぎ用ペレットが並んでいますが、それぞれのペレットの種類によって、与え方も与える量も違います。最初は、それぞれのペレットに書かれている説明をよく読んで、育てているうさぎに合ったものを選んでおきましょう。
ただ、ちょっと注意が必要なのは、そうした牧草を主原料したペレットを固める際に多くの製品で小麦粉が使われ、食いつきを良くするための味付けに蜂蜜などが添加されている場合もあるということです。
もちろん小麦粉や蜂蜜が、うさぎにとってすぐさま害になると言うわけではありませんが、小麦粉や蜂蜜は、もともと野生のうさぎの食生活にはないものです。
うさぎの体に最も適したシンプルな牧草本来の味や栄養を大切に作られたものを選ぶことが、長い目で見ればうさぎの健康にとって一番大切なこと、ということにも目を向けて選んでみてください。
ペットショップに並んでいるうさぎ用の餌(ラビットフード)もどんどん種類が増えて、いろいろな銘柄のものから自由に選ぶことができるようになりました。ところが、あまりにも種類が増えたために、間違った与え方をして気づかないでいるケースも多くあるようです。
市販のうさぎ用フードは、選び方を間違えると、主食とはなりえないおやつばかりを与えて、不正咬合(過長歯)や肥満、栄養失調の原因にさえなってしまうこともありますので、くれぐれも注意が必要です。では、市販されているうさぎのエサ(餌)をいくつかのタイプに分けてご紹介してみましょう。
市販されているうさぎのエサ(餌)の中で、主食として与えても良いものが、牧草を原料として固めたペレットと呼ばれるタイプのものです。
牧草を原料としたうさぎのペレットには、ハードタイプとソフトタイプという2つの種類があります。
硬くて歯の不正咬合(過長歯)を防ぐ効果があるのがハードタイプ、柔らかくて食べやすいかわりに歯の不正咬合(過長歯)の防止には向かないのがソフトタイプです。
牧草を主な原料にしているという点では、ハードタイプもソフトタイプも基本的には同じですが、ソフトタイプには、一生伸びつづけるうさぎの歯を削る効果がないため、ずっとソフトタイプばかりを与えていると、歯の噛み合わせが悪くなって物が食べられなくなる不正咬合(過長歯)を招いてしまいます。
ただ、食べやすさという点では、ハードタイプよりもソフトタイプの方が優れていますから、ほとんどのうさぎが、一度ソフトタイプを与えるとそれしか食べなくなってしまうということが起こりがちです。ソフトタイプを与えるのであれば、うさぎの歯を削るための硬い牧草やかじり物などを一緒に与えるということを心がけておきましょう。
不正咬合というのは、本来はかみ合わせが悪く、痛くて物が食べられなくなる病気で、過長歯ともいいます。放置すると、歯が伸びすぎて曲がってしまい、口の中に刺さったり、ひどいときにはあごの骨を突き破ったりすることもあります。
最近のうさぎは、昔の野菜や野草で育てられていたうさぎに比べると、おやつやソフトフードばかり与えられ、あごが小さく弱くなり、不正咬合(過長歯)も多くなっているそうです。
ペレットのハードタイプは、硬くて食べるたびに自然に歯が削れます。ただその効果は、やはり加工していない牧草には及びません。ペレットのハードタイプを主食として与える場合でも、牧草も一緒に与えるようにしたほうが安心です。
ちなみに、あまり知られていないことですが、実はうさぎは奥歯も伸びます。ですから奥歯も不正咬合(過長歯)になる可能性があるのです。
特に最近はドワーフタイプのうさぎの奥歯の不正咬合が多いといわれていますが、奥歯は、野草のような繊維の多いものをもぐもぐと良く噛むことで削れます。そのために良いのが、藁(わら)や牧草などの繊維の多い硬いエサ(餌)です。
わらや牧草は、うさぎの寝床の床材としてだけでなく、不正咬合(過長歯)の防止、また毛玉症予防にも効果のある優れたエサ(餌)なのです。
うさぎのお菓子(おやつ)になるのは、人間のおやつのようなクッキーやビスケットなどのうさぎ専用の焼き菓子状のフードです。不正不正咬合(過長歯)防止用のかじって食べる硬いおやつもあれば、ラビットフードと明記されているものまで各種ありますが、基本的にはすべておやつです。
もし野菜や野草などをメインに食べさせているのなら、多少混ぜて与えることもできますが、ペレット(ペレットフード)を主食にしている場合は、おやつは、できるだけ控えるか、与えるならほんの少しにしておきましょう。
あまり頻繁に与えると、おやつでおなかがいっぱいになってしまい、それしか食べなくなったり、栄養のバランスが崩れたり、肥満の原因になったりしますので注意が必要です。
種類はそれほど多くはありませんが、穀物やドライフルーツ(乾燥野菜)などが配合されたうさぎのエサ(餌)もあります。ただし、うさぎはもともと穀物をめったに食べたりしない動物ですから、基本的にはこれもおやつと考えたほうがいいでしょう。
ちなみに、うさぎを飼う上で知っておきたい、うさぎに与えてはいけない食べ物については、当サイトの「うさぎに与えてはいけない食べ物」のページをご覧ください。
○当サイトの出典及び参考書籍:ハムスター・ウサギ・リスたちと暮らす本 (霍野晋吉監修 誠美堂出版)/とってもかわいい!ウサギの育て方(桜井富士朗監修 誠美堂出版)/ウサギとおしゃれに暮らす本 (鈴木麻子著 誠美堂出版)/小動物の飼育情報満載!スモールペット飼育ハンドブック(緑書房)
当サイト、「うさぎ(兎)の飼い方・育て方」では、うさぎ(兎)の上手な飼い方と育て方、うさぎ(兎)の日常の健康管理、初めてでも楽しくうさぎ(兎)と暮らすための育て方のポイントをわかりやすくご紹介しています。
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